Column 4 吉祥寺のカフェ
街にふらりと寄れるアートスペースをアートセンターオンゴーイング
「アーティストと社会をつなぐハブのような場所を」という思いで、小川希さんが吉祥寺に「アートセンターオンゴーイング」を開いて丸4年が過ぎた。
「アート」とつくだけで、敷居が高く感じる人がいるかもしれないが、古い木造の二階家を友人たちと共にリフォームし、テーブルなどもすべて手作りというだけあって、知人の家を訪れているかのような安心感がある。
1階は自家製パンのハンバーガーやグリーンカレーなど、ランチから夜の食事までを提供するカフェ。壁面にはアート関連の本が置かれ、自由に手にとることができる。
2階のアートスペースでは、立体、音楽、映像、絵画など、さまざまなジャンルの作家たちの企画展がほぼ2週間交代で随時開催されている。
出展者のほとんどは、小川さん自身のネットワークや関係者から紹介された作家たち。
出展料を徴収しない方針や、駅から離れていて人通りの少ない場所であるために、当初は「いつまでやれるか」と考えていたという小川さんだが、展示を入場料(400円・セレストティーつき)制にしたり、サポート会員を募ったりと、周囲の人々を巻き込みながら維持してきた。
今では、週末ごとのイベントも定着し、特に現代アートの世界で注目の存在となっている。
アートが生む公共とは・・
自身が作家活動をしていた小川さんだが、今では東京都のアートイベント「TERATOTERA」のディレクターや武蔵野市の図書施設「プレイス」での全館展示のプロデュースなど、各地のアートイベントの企画の仕事も増えている。
また、オンゴーイングの展示から、新たなネットワークを築き、さらなる活動へと可能性を広げていく作家たちも多い。
吉祥寺の駅付近は大手チェーンの店が目につくが、ちょっと駅から離れたところにある、街の良心とも呼ぶべきこのスペース。
休日の散歩がてら、いつもの散歩コースを変えて、訪ねてみてはどうだろうか。肩ひじ張らずにアートを楽しんでいる自分を発見するかもしれない。
■ アートセンターオンゴーイング
http://www.ongoing.jp/
住所:東京都武蔵野市吉祥寺東町1-8-7
営業時間:12:00-23:00(ギャラリ―は21:00まで)
定休日:月、火曜日
TEL・FAX:0422-26-8454