Column 9 お持ち帰りグルメ
Patissier Jun Honma(パティシェ ジュン ホンマ)
夕暮れどきの吉祥寺...
井の頭公園通り沿いにある小さな洋菓子店Patissier Jun Honma(パティシェジュンホンマ)を訪れた。
白が基調のモダンな店内と、綺麗に磨かれたショーケース、そしてその中に勢揃いする、表情豊かな洋菓子の数々。
約束の時間まで、しばらくあった私は、その間ぼんやりと、店を訪れる人たちを眺めていた。スウィ―ツを見る時の目は、子供も大人もなんだかキラキラしているんだな、なんて考えながら。
そうこうしているうちに...
白いコックコートに身を包んだ本間さんが奥から登場。挨拶を済ませ、早速私は本間さんの洋菓子遍歴をうかがった。
幼い頃から洋菓子好きっだったのだろうと予想していた私にとって、彼の口から出た言葉は意外なものだった。
福岡の田舎町で生まれ育った本間さんにとって洋菓子は未知の存在。『菓子』というのは、母親が家で手作りしてくれるものであり、おやつを外で買うという文化は本間家ではなかったのだという。
「今でこそジャンクフードも食べますが、幼い頃にそういったものが身の回りになかったからこそ、味覚を狂わせることなく来られたんでしょうね」その言葉には、幼少期への感謝と温かさが感じられた。
様々な想い溢れる、吉祥寺という街
本間さんにとって吉祥寺という場所は、専門学生時代を過ごした想い出の地であり、大好きなパリを彷彿とさせる地でもある。
人々が憩える公園があり、子供から若者、そしてお年寄りまで、それぞれの楽しみ方を見つけることのできる街。
活気はあっても、あくせくとした雰囲気を感じさせることはない。様々な文化が入り混じり、どこか下町の要素を持ち合わせている。それらすべてが、本間さんの感じる吉祥寺らしさであり、また、パリを想わせる所以。
本間さんと話していたら、幼い頃から慣れ親しんできた吉祥寺が、更に素敵な場所のように感じられてきたから、不思議だった。
吉祥寺と人々の心に根付いた洋菓子を
400円のケーキがあったとき、その価格が安いか高いかを決めるのは、店ではなくお客様。その金額を出してでも食べたい、そう思ってもらえるような価値ある洋菓子創りは、本間さんにとっての永遠のテーマ。
「お祝いごとなど喜ばしいことがあるときにしか買わない、なくても困らないものだからこそ、今後はもっと人々の心に根付いた菓子作りをしていきたい」そう話す本間さんの表情には、職人特有の厳しさがあった。
ミシュランで一つ星をもらった吉祥寺の街がさらに輝くようにとの願いを込めた三ツ星プリン(250円)や、毎日個数限定で創られる大吉シュー等、店には吉祥寺にちなんだアイテムの数々も並ぶ。
大切な人の喜ぶ顔が見たいとき、仲良しの友人と美味しい時間をシェアしたいとき、もしくは一人で甘いひとときを楽しみたいとき、赤い看板が目印のお店に、足を運んでみてはいかがだろう。
Patissier Jun Honma
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町3-4-11
電話: 0422-27-5444
HP:http://jun-honma.com/
営業時間:10:00-20:00